「箸にも棒にもかからない」朝日新聞第三者評価委員会

 企業不祥事の頻発に伴って、世間の信頼を失った経営者の弁明に代わって、第三者委員会が利用されるようになりました。しかし、第三者とは名ばかりで、経営者の依頼により、その責任を回避し、或いは隠蔽するものが散見されます。これは多くの第三者委員会の主要な構成者となっている弁護士や弁護士会の信用を損なう結果になるとして、日弁連業務改革委員会は2011年3月に「企業不祥事発生時における第三者委員会ガイドライン」を公表しました。
   http://www.rating-tpcr.net/wp-content/uploads/guide_line.pdf

 それ以後、多くの第三者委員会報告書はこのガイドラインに「準拠する」とか、「基づく」と表記して、委員会の独立性や透明性、説明責任の遂行に配慮するように改善されてきました。しかし、最近は、このガイドラインの重要な項目に配慮せず、或いは、それに反して「第三者委員会報告書」を僭称したと評価せざるを得ないような報告書が見受けられる事態が起きています。

 そこで「公共財」としてのより良い「第三者委員会報告書」を世の中に送り出すために、第三者委員会報告書を格付けする「格付け委員会」が9名の弁護士によって設立されましたる。当委員会は優れた報告書には賞賛を惜しまない、しかし腑に落ちない報告書には理由を付して評価し公表するとしています。

 目的は、第三者評価委員会の評価に規律をもたらし、第三者委員会及びその報告書に対する社会的信用を高めることしています。また公正性を担保するために、経費は委員の寄付によっているとのことです。

●格付け委員会の格付け実績
 今まで次の3件について、格付けが行われました。
・第1回格付け:(株)みずほ銀行が設置した「提携ローン業務適正化に関する特別調査委員会」の「調査報告書」
・第2回格付け:(株)リソー教育が設置した第三者委員会の公表した報告書
・第3回格付け:ノバルティス ファーマ(株)が設置した慢性骨髄性白血病治療薬の医師主導臨床研究であるSIGN 研究に関する社外調査委員会の調査報告書

 そして第4回格付けが、この度の朝日新聞社が設置した朝日慰安婦報道第三者委員会が2014年12月22日に公表した報告書についてです。

                  150301格付け委1                  

 2月27日付け産経新聞の報道によると、「朝日慰安婦報道第三者委報告書」に関し、委員8人中5人が最低評価の「F」、3人が「D」評価しました。「F」とは、「不合格」と言うことです。
 今までの評価結果は、次の通りでした。
第1回:C4名、D4名
第2回:C4名、D3名、F2名
第3回:B6名、C3名
 従って相対的に見て、今回の「朝日新聞第三者評価報告」の事例は、程度がかなり酷いと言えます。
 
 記者会見で、委員長の久保利英明弁護士は、次のように批判しました。
・「非常に評価が低い」
・「箸にも棒にもかからないと言わざるをえない」
・「慰安婦報道はずっと放置されていたという組織的な原因があったが、その部分についての調査がなされていない。非常に不満だ」
   http://www.sankei.com/life/news/150226/lif1502260032-n1.html

●各委員の評価要旨
 次に各委員の評価について具体的に見てみましょう。

(1)久保利英明委員長(弁護士) 総合評価:F(不合格)
・どれだけ調査専門家を投入したのか、調査検証に朝日新聞の社員・記者が行ったのかなどを明らかにしておらず、「事実調査」委員会たる性格を基本とする「第三者委員会」とは言えない。
・組織的要因に対する事実調査・認定がなく、原因分析がなされていない。
・再発防止策の提言が具体性を欠き、朝日新聞の社会的信頼回復につながらず、第三者委員会として失格。
・報告書の後半は学者や評論家の個人意見の羅列に終わり、「委員会報告書」の名に値しない。

(2)齊藤誠委員(弁護士) 総合評価:F(不合格)
・重大な政治問題化したとはいえ、自らの報道の自由に属する根幹の判断を他にゆだねたこと自身に、まず問題が存在している。
・危機管理名目で経営者が記事の内容に干渉した点については、経営幹部の責任の評価が極めてあいまい。
・新聞記事上では、経営責任を徹底的に追求しているにも関わらず、自らの不祥事においては極めてお粗末な危機管理しかできていないという体質に対して全く切り込んでいない。
・企業不祥事において設置された第三者委員会としての役割を全く果たしていない。

(3)塩谷喜雄委員(科学ジャーナリスト、元日本経済新聞論説委員) 総合評価:F(不合格)
・口をぬぐい、ほおかぶりして済ませてきた不祥事について、もう持ちこたえられないから、外部の第三者に丸投げして決着をつける、という朝日新聞経営陣のシナリオに、ほぼ沿った形で動いた第三者委の独立性は、極めて疑わしい。
・池上コラム問題で木村社長が掲載拒否に深く関わったと断定している点は高く評価できるが、経営トップの強権がまかり通った企業体質がほとんど解き明かされていない。

(4)高巌委員(麗澤大学大学院経済研究科教授) 総合評価:F(不合格)
・報告書は「第三者委員会ガイドライン」に沿う形で執筆されておらず、調査体制に関する正確な情報が開示されていない。
・重要な問題にも深く切りこんでいない。
・「記事に角度をつける」といった朝日新聞のスタンスにもっと切り込んだ調査・検討を加えるべきであった。
・新聞社の「捏造」概念と国民側の「捏造」概念のギャップを整理し、明示する必要があった。
・提言の内容も不十分。責任の所在を曖昧にする構造的な欠陥があったはずだが、委員会はそこまで深く切り込まなかった。

(5)竹内朗委員(弁護士) 総合評価:D
・提言や個別意見は再発防止の一助となり、他の報道機関にも役立つ公共財的な価値が認められる。・しかし、「組織的要因に対する事実認定と原因分析」という重要な要素が大きく欠落している。
・「誤報リスク」に対する内部統制システムをどのように整備してきたのか詳細に調査し、事実認定する必要があった。
・未然防止システムに関する記述は見当たらず、事後是正システムに関しては断片的な評価が見られるが、こうした指摘では組織の再生につながる有意義な提言を提供できない。

(6)行方洋一委員(弁護士) 総合評価:D
・読者目線に立った鋭い評価、記者や新聞社の「心構え」に係る提言については社会的価値は相応に高い。しかし、事実調査や原因分析に係る陣容が相対的に薄い。
・委員会は調査期間中でも、事実調査等に係る体制強化を朝日新聞社に要請すべきではなかったか。
・朝日新聞社の企業風土を含む内部統制システムに照らした発生原因の深堀調査が行われておらず、表層的な分析にとどまっているとの印象を拭えない。

(7)野村修也委員(中央大学法科大学院教授) 総合評価:F(不合格)
・本報告書は事実調査を行った部分と識者の共同研究的側面を兼ね備えたもので、性格づけに苦慮する。
・新聞の編集プロセスに精通した委員が選ばれなかったことは大いに疑問。
・規範的な考え方を十分に詰めないまま、ヒアリング等の事実調査を行われた形跡がある。
・国際的な影響に関して委員会全体の分析や意見が放棄され、「肩すかし」との評価を禁じ得ない。
・原因分析及び提言が当たり前すぎて、抜本的な組織改革に寄与し難い嫌いがある。

(8)八田進一委員(青山学院大学会計プロフェッション研究科教授) 総合評価:D
・時系列的にほぼ全面的な調査を実施している点、原因分析で朝日新聞社の経営と編集の分離という重要な部分に立ち至っている点などは評価できる。
・国際的な影響に関する調査は、委員の私見等にとどまり、説得力がない。
・再発防止策は当を得ているものも多いが、報道機関に対する一般的な提言になっている。
・企業や組織等の社会的責任や役員の経営責任への言及が十分なされていない。
・一方、多くの反省材料を提供し、報道に関わる者に対しての良き教材となり得る。

 http://www.rating-tpcr.net/wp-content/uploads/fccfdeac65688725d484784e82ca152d4.pdf

●独立検証委員会の検証報告
 民間有識者による「朝日新聞慰安婦報道独立検証委員会」も、2月19日、報告書を発表しました。詳細は省略しますが、大きな違いは、朝日慰安婦報道の海外への影響度評価です。朝日第三者委員会は「限定的」と過小評価しましたが、これはおかしいと次のように指摘しています。

(1)朝日新聞は、平成3年から4年にかけて「日本軍による朝鮮人女性の強制連行」を内外に拡散させた。これは、米三大紙の記事データベース調査で、「comfort woman」、「Sex Slave」、「吉田清治」の三つのキーワードは、4年1月以降登場しだしたことから見れば明らかでる。
(2)同様に、朝日報道が韓国や国連に与えた影響の大きさも実例を挙げて指摘。
(3)アメリカで日本人子弟が、学校で中国人や韓国人の生徒からイジメを受けていることも事例を挙げて説明。

 そして結論の中で「国際社会に蔓延しているプロパガンダを消し去るため、朝日が応分の負担をすることを求める」と訴えています。これが国民感情にマッチしているのは、朝日新聞集団訴訟2万4千人(2月28日段階)の実態から明らかと言えるでしょう。

●朝日新聞居直りのカモフラージュ
 要は朝日新聞の第三者検証委員会は、客観性のある企業不祥事対応の検証の進め方から見て、「箸にも棒にもかからない」レベルであり、また国民感情の視点でも、最も重要な国際的な影響、すなわち日本の名誉を貶め国益を毀損したことについて、検証していないのです。その後の朝日新聞は、社説や記事において、何も変わっていないことは明らかです。朝日第三者検証委員会は、第三者という客観性をカモフラージュした朝日新聞の御用委員会であり、国民を騙しているのです。

 この委員とは次の人達です。
・中込秀樹氏   元名古屋高裁長官、弁護士=委員長
・岡本行夫氏   外交評論家
・北岡伸一氏   国際大学学長
・田原総一朗氏  ジャーナリスト
・波多野澄雄氏  筑波大学名誉教授
・林香里氏    東京大学大学院情報学環教授
・保阪正康氏   ノンフィクション作家

 安倍首相の戦後70周年談話の有識者懇談会のメンバーに、北岡伸一氏、岡本行夫氏が入っています。朝日の御用を勤めた人に期待は何も出来ません。

以上
(うまし太郎)

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未分類 | コメント:(0) | トラックバック:(0) | 2015/03/01 14:42
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