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親学を通して家庭教育を考える

6月2日、横浜・関内ホールで、「心の教育・女性フォーラム」主催による標記テーマのシンポジウムが、開かれました。登壇者は次の方々でした。
●基調講演:「脳科学から見た日本の伝統的子育て」。高橋史郎氏(明星大学教授/(財)親学推進協議会理事長)
●パネル討議
 ・専門家:向山洋一氏(TOSS)
 ・政治家:有村治子氏、義家弘介氏
 ・司会:山谷えり子氏

平成18年、安倍内閣において教育基本法が改正され、従来の「学校教育」、「社会教育」に対して、第10条「家庭教育」が新設されました。その内容は次の通りです。
「第10条、父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身につけさせると共に、自立心を育成し、心身の調和の取れた発達を図るように努めるものとする。」

引き続き平成19年、教育再生会議第1次報告書で、「親学」について次のように言及しました。
「教育委員会、自治体、関係機関は、これから親になる全ての人達や乳幼児期の子どもを持つ保護者に、親としての必要な「親学」を学ぶ機会を提供する。」

しかし民主党及びマスコミは、総じて国家権力による家庭の支配などとして反発しました。そして民主党政権誕生により、政府施策としては立ち消えになってしまいました。

その後、親学推進に関して、関係者の地道な努力があったようです。と言うよりも、小学校における学級崩壊が一層進んできたというような事態の悪化が強く認識されたためか、この4月10日に、親学推進に関する超党派の議員連盟が発足しました。会長は安倍元首相、超党派として、民主、公明、みんな、立ちあがれなどからも参加者がいます。活動方針として、「親学」を推進する法律(家庭教育基本法など)の年内制定を目指すとのことです。

さて前置きが長くなりましたが、このような背景の認識の下に、シンポジウムに参加しました。要旨を紹介させていただきます。参加者は概ね800人位と盛況でした。

1.基調講演 (高橋史郎氏)
(1)子供達に起こっている変化
①子供達の「脳内汚染」が進んでおり、日本人としてのアイデンティティの崩壊をもたらしかねない事態が進んでいる。
②幼稚園園児の名簿の半分は、先生は読めない。
 例:一二三(読み方:ワルツ)、七音(ドレミ)、強運(ラッキー)、礼(ペコ)、剣(ブレイド)
③新型学級崩壊が進んでいる。学年に1クラスから全クラスに。先生がお手上げに。
④子供の引きこもり(6ヶ月間外出なし)70万人、予備軍155万人
⑤中学生の23%がウツ(北海道)
⑥子供(15歳)の幸福度調査(ユニセフ)
 ・孤独を感じるか→(日)30%、(英)6%、(仏)6%、(加)8%
⑦保育士456人の調査→親の変化が子供の変化に直結
  ・基本的な生活習慣を身につけさせられない
  ・受容と我が儘の放置との区別がつかない
  ・親自身の対人関係能力が落ちてきている

(2)何が変わってきたのか
①子供の夢のランキング
 ・女の子:お母さんのようになりたい→13年前からランキング外
 ・男の子:お父さんのようになりたい→皆無
②愛着障害(愛情障害ではない)が起こっている
 ・ながら授乳(TVを見ながら)のお母さん80%
    →対人関係能力の土台を築くアイコンタクトが欠落
③乳幼児の夜更かし、夜10時以降の就寝44%、子供に最大の注意を払っていないと言うこと。
④離婚率の上昇→親が崩れ、普通の家庭像が崩れ、子供も崩れる。
 ・結婚は年67万組、離婚は年23万組
⑤「つながり格差」が学力格差を生んでいる。
 ・家族のつながり←離婚率
 ・地域のつながり←
 ・学校とのつながり←不登校率

(3)どうすればよいか
①3つの指標を認識する
 ・IQ:知能指数
 ・EQ:心の知能指数(情能)
 ・HQ:智恵や人間性を育てる能力指数
②赤ちゃんへの働きかけが大事
 ・赤ちゃんと感動を分かち合える大人が一人、赤ちゃんのそばにいる必要がある。
③「育児」+「育自」。親自らが成長する
④伝統的な智恵、自然に受け継がれてきた智恵を見直しし再生しよう
 ・守・破・離
 ・しっかり抱いて(母性原理)、下に下ろして(父性原理)、歩かせる
 ・子育て四訓(子供の発達段階に応じた育成) 
   ・乳児はしっかり肌を離すな
   ・幼児は肌を離せ手を離すな
   ・少年は手を離せ目を離すな
   ・青年は目を離せ心を離すな
 ・会津藩の幼年教育-「什の掟」。総括して「ならぬことはならぬものです」
 ・江戸しぐさ
⑤日本民族を支えてきたもの→親子の絆(岡潔)
渡辺京二「逝きし世の面影」第十章「子供の楽園」。是非読んで下さい(高橋)。
   →外国人が見た日本の子供達、無条件で愛されている様子に彼等は感銘。何故日本は変わってしまったのか。

(4)まとめ
①教育再生は家庭教育から、親学は親になるため/親としての再生。
②改正教育基本法第10条「子供の教育の責任は家庭にある。」

2.パネル討議
親学シンポ

(1)向山洋一氏
①戦後「学芸大学」設立、教育は学芸とされ、日本伝来の教育は排除された。
②教育基本法から家庭教育が排除され、文部省は家庭教育に全く関与してこなかった。戦後の大きな間違いだ。教師教育にも歪みを生んでいる。
③日本の強さ-教育力、しかしそれがダメになってきている。
④教育基本法改正で「家庭教育」が新設されたことは画期的なことだ。しかし、「家庭教育基本法」はまだ、予算もつけられていない。これからだ。
⑤日本の伝統的なものは強い生命力を持っている。ここから出発しなければならない。カルタ、ソロバン、なわとび、これらには教育力がある。

(2)義家弘介氏
①国会が学級崩壊している。今の政権は戦後日本の負の象徴、「責任を負う」精神と体制が必要だ。
②躾の共通ルールが必要だ。スカイツリーのオープンの日、子供に学校を休ませた親子連れ多かった。ファミレスで親子がそれぞれ携帯を除いている。仲人を立てない結婚が多い(家と家の概念喪失)。

(3)有村治子氏
①2児(8歳、2歳)の母親。国会議員として多忙だから実践していること。
  →抱っこして「宝物」と言っている、子供の話にびっくりしてあげること。
②離婚率の上昇→普通の家庭像が壊れつつある
③日常の子育てに大事なこと→心構え+子育てのスキル+応援団

(4)質疑いろいろ
①学の実践例→幼稚園の現場でいろいろな取り組みが行われている。
  例:茶道を教える→自己抑制能力、対人関係能力の向上
②大阪市教育条例では、「愛着障害」を「愛情障害」と取られてトラブルが起きた。
③「発達障害」→「発達凸凹(デコボコ)」と言ったらよい。個人差はある。
 ・短期記憶しか出来ない子供がいる→教師はセンテンスの長い話はしない。
 ・負けるのが怖くてゲームが出来ない子供がいる。→百人一首で勝ち負けがあることを分からせる
 ・適応障害が起きないようにしよう
④重層的な家庭教育支援。まず自助→共助→公助
⑤中・高校の家庭科の教科書も見直しが必要だ。家族、親の役割や心得など。
⑥学校運営の中に地域の人が入るべきだ。学校へのクレームはその人達を通すこと、これでモンスターペアレンツは削減できる。一生懸命やっている先生をサポートしてください。
⑦親が子供の一生に残してあげられるもの→よき日常の行動と習慣
⑧民主党は、「子供は社会が育てる」と言っている。壮大な実験になってはいけない。スエーデン型福祉社会での国民のしみじみした述懐(アンケート)→「家族が滅んでしまった。」
⑨親育ち支援(親学)が必要だ。

3.まとめ
①「子供の教育の責任は家庭にある」-改正教育基本法第10条
②改正教育基本法に対して、家庭教育基本法などの個別法の制定、関連する法律の改正(数十本)を進めてきて、国会に提出する段階になった(義家氏)。
③超党派の親学推進議員連盟が4月に発足
④自民党憲法改正草案第24条「社会の基礎は家庭にある」(山谷氏)。
⑤国家の「家庭への介入」ではない。子供達の「育成保証」だ。

冒頭、高橋先生は、子供達の脳内汚染が進んで、日本人が日本人でなくなると警鐘を発しました。何も対策を取らなければ、そのようになっていくのは明かです。戦後体制の負の象徴が民主党政権との指摘がありました。しかしそれ以上の社会的崩壊をもたらしかねない恐ろしさがあります。本日の登壇者の方々、是非頑張ってください。

(うまし太郎)
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未分類 | コメント:(0) | トラックバック:(1) | 2012/06/04 18:05
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6月2日、横浜・関内ホールで、「心の教育・女性フォーラム」主催による標記テーマのシンポジウムが、開かれました。登壇者は次の方々でした。●基調講演:「脳科学から見た日本の伝