日本はどこへ行くのか

去る4月18日、三輪和雄氏の正論の会主催「正論を聞く集い」があり、チャンネル桜の水島総氏の「日本はどこへ行くのか~新たな出発点とは?」と題した講演がありました。前日の石原東京都知事の尖閣購入発言の意味合いを含めて、時代を巨視的に眺めた大変示唆に富むお話でした。要旨ご紹介させて頂きます。

1.大学の卒論では「ヨーロッパ近代主義批判」がテーマであった。マルクスの世界観とは、「人間は自然の一部である。自然を人間化する。人間は自然化する。」の3軸が弁証法的に相互滲透し合うというものだ。これの何がいけないのか。歴史・伝統・文化の時間軸がないこと及び自然と人間を対等に見ている傲慢さだ。アインシュタインは「人間の知恵によって世界を幸福に出来る」とした。傲慢な考え方と言えよう。

2.西欧近代主義とは、カール・ブッセの「山のあなたの空遠く、幸い棲むと人の言う」に象徴される。空間の追求と拡大だ。それは船に例えられる。船はどこに行って海の上、真の文化とは、船の上には空があり、船の下には海中、海底があることが分かる文化だ。

3.時間軸がないと言うことは、今の刹那を大事にするだけで、その文化も人生もつまらないものになる。アメリカの都市は、どこに行ってもつまらない。

4.戦後マルクス主義がはやったのは、日本人が歴史的時間軸、多様な文化の価値を忘れたからだ。

5.弥生時代の人口は30万人、鎌倉時代300万人、今は1億2千万人。この間、日本列島から人が出て行ったことはない。即ち、ほとんど我々は血が繋がっているのだ。神武天皇が八紘一宇と仰ったのは、文字通りそうなのだ。このような国は、日本以外世界にはない。それをバラバラにしようとしたのが戦後のマスメディア、そして今の民主党政権だ。

6.映画の脚本づくり、映画作りを数百本行ってきたが、いつも感じたのがマスメディアの偏向だ。NHKは、気づかれないような巧妙な映像による印象操作を行っていた。例えば、総選挙前日の小泉・岡田討論では、小泉には魚眼レンズで顔をいびつに写す、下かに見上げる映像にして威圧感を出す、一方岡田には、普通のレンズを使い、上から見下ろす映像にし穏やかな感じにする、このような陰湿な操作は日常茶飯事であった。NHKの体質はそのままだ。だからNHK集団訴訟は必要なのだ。

7.北のミサイル発射のマスメディアの報道は、「アメリカの対応はどうか、中国は影響力を発揮して欲しい、各国は協力して北に圧力をかけよ」ばかりで大政翼賛会になっている。政治家も同じだ。マスメディア、政治家の99%が、同じ発想をしており、これしかないと思っている。異常だ。それは憲法前文「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」が頭に染みついており、この閉ざされた言語空間がまだ続いているからだ。

8.この閉ざされた言語空間から脱皮するのは簡単なことだ。NPT(核不拡散条約)では、核保有国は非保有国を護る義務を課せられている。米・中は義務を果たしていない。だから日本は次のように言えばよい。

「わが国は脅威を受けた。わが国は自主防衛権として、核武装を準備せざるを得ない」。「準備する」と言うだけでよい。これでアメリカもシナも真っ青になる。世界各国は、日本は民主主義国、経済大国、道義と信用の国として、どこも賛成に回る。世界各国は日本が好きなのだ。

9.しかし問題は、今回そのような発言をした政治家は一人もいなかったことだ。マスコミも一紙としてないことだ。

10.アメリカ、シナが真っ青になる理由は、大東亜戦争の世界史的な意義の評価につながっていくからだ。マッカーサーも証言した自衛のための戦争であることはもちろん、白人が支配していた世界に異議申し立てした日本の立場が明らかになってくるからだ。ベルサイユ条約で人種差別撤廃を提案したのは日本である。西欧の近代主義とは拡張主義であった。道義、道徳にたけた国は日本だけであった。

11.大東亜戦争のマクロ的意義とは、道義、公正、平等の主張、そして民族独立である。しかし戦後、全く子供達に教えてきていない。

12.日本は台湾、朝鮮で産業のインフラ、人々の教育に国家予算を投入した。人材も投入した。そこには日本の今だけをよいとしない時間軸のある文化的価値観があった。その結果、台湾、韓国は、日本が去った後、経済発展が始まった。この日本の価値観・世界観が、21世紀の世界の価値観・世界観になるのかも知れない。一方西欧は今を生きることしかない。

13.大東亜戦争は世界史的意義のある戦争であった。数百万人がなくなった。国土は廃墟となった。しかし世界史に偉大な貢献を果たした。民族の誇りある悲劇である。ギリシャ悲劇を語るが如く、大東亜戦争を民族の一大叙事詩として語る詩人は出てこないものか。そして平家物語の如く、末代まで伝承していけないものであろうか。

14.石原知事の尖閣購入発言は、憲法前文に囚われた戦後言語空間に対して、初めて打ち放された嚆矢である。戦後の歴史上、初めてシナに対して対決したのである。その自立の発言をアメリカで行い、また憲法廃止の発言も憲法を強要したアメリカで行った。覚悟がある意思表示であろう。国が日本を護らなければ国民が日本を護る、その覚悟が見える。

15.日本は明治維新など、歴史的に地方から国を変えてきた。河村名古屋市長の南京発言も、中央の誰もが言えなかったことであった。地方から国を変えていくきっかけになろう。

16.石原知事、河村市長の発言で、歴史の風穴が空こうとしている。日本的価値観・世界観で、世界史が大きく転換する機会が生まれようとしている。我々は、歴史の転換期に生きていることを自覚しよう。一人ひとりの草莽の活動が大事だ。

(うまし太郎)
スポンサーサイト
講演会 | コメント:(4) | トラックバック:(0) | 2012/04/19 13:55
コメント:
12、韓国の発展・・に異論
>その結果、台湾、韓国は、日本が去った後、経済発展が始まった。

パクチョンヒ大統領による日韓基本条約締結によって日本からの莫大な資金が経済発展の引き金になった。
朝鮮動乱、4・3事件などもあったにせよ、其れまでの韓国は極貧の国家だった。
日本進出が20世紀初頭に近代化への黎明をもたらし、朴大統領と日本政府による決断が2次の発展への序章になった。
12、韓国の発展・・に異論
>その結果、台湾、韓国は、日本が去った後、経済発展が始まった。

確かに誤解を招く書き方でした。これでは、昭和20年以降、台湾、韓国は日本の支援なしに独力で発展したような書き方ですね。水島さんはマクロの大きな流れの中で、日本的価値観が台湾、韓国において、産業発展のベースになったと仰ったのでした。

経済発展のベースになる製造業の発展は、世界のほとんどの国で成功してきませんでした。それぞれの国の文明・文化と合わないのだと思います。その中で日本が関与した国だけが発展を見たのです。満州は建国15年にして、馬賊が跋扈する国から、重工業が育ちました。台湾、韓国も、タイムラグがありますが、今の発展を見ています。東南アジアの発展は、日本が先導する雁行型の発展と言われました。

どうしてそうなのかと言う点で、水島さんは日本の価値観・世界観と言ったのだと思いますが、私はそれは現場の労働に価値をおく価値観なのだと思います。ほとんどの文明においては、労働は蔑まされているのですが、日本だけは、神話の神様も労働にいそしむ文明を持つ国なのですね。

神戸大学経営学部の加護野忠男先生は、日本企業が東南アジアで現地企業に、どのように指導を行ってきたかを詳細に調査分析しています。正に労働への日本の価値観を植え付ける指導なのです。

これは製造業が育つ必要条件と思います。しかし必要要件が満たされたら発展するかと言えばそうではなく、ご指摘のように、資金援助や技術指導、その他諸々が十分条件としてあって、初めて企業も経済も離陸するのだと思います。

水島さんの意図が伝えられなかったのは、私の責任です。上記ご理解いただけましたら幸いです。
韓国の発展・・に異論
韓国を今の韓流TVドラマやサムソン・現代を鵜呑みにしている人は「韓国って凄いね」となってしまいますので修正の意味を込めて書き込みました。

台湾は李登輝氏がトップになったこととあわせ、多くの台湾の人々が日本人として学んだ方々や日本人と一緒に働いた人達が台湾人の持つバイタリティと商売上手がうまくマッチし日本に次ぐアジアでトップランクの経済発展につながったと私は理解してます。
戦争で惨敗を喫したドイツと日本が、驚異的な発展を果したのは国民性と歴史に支えられた技術力と言うのはよく言われることです。
ドイツは戦後直ぐに”セントラルヒーティングが有った”と渡部昇一先生は言っています。
世界で町工場の有る国は5カ国だそうです。
歴史をもっている国だと思います、勿論、日本とドイツは入っています。

歴史を素直に受け入れれるか否かによって文明の発展と文化の形成は異なってくるのではないでしょうか。
韓国のように嘘の上に嘘を積み重ねていては、自国のアイディンティティを見つけることは絶対に出来ません。
韓国の発展・・に異論
フジテレビを初めとする韓流ブームを捏造するマスコミには、怒りを禁じ得ません。日本の景気低迷に対して、韓国を見習えと言うマスコミや経済誌にはバカもいい加減にせよ、と思います。

韓国のGDPは、昨年度世界15位ですから、経済的に韓国は、李氏朝鮮の極貧から離陸したのは事実と思います。問題は、経済の中身と今後も成長する可能性があるかと言うことと思います。

韓国経済は、製造業が40%を占めますが、大企業寡占で仰る町工場がない構造です。もの造り技術から見た製品には、組立型と摺り合わせ型があります。組立型とは、部品を集めて半田付をし、またボルトで締めただけで、品質が確保される型です。部品が生命です。多くの大量生産型のスマホンなどの電子商品はこのタイプです。

一方摺り合わせ型とは、組立に当たって、様々な調整を要するタイプのものです。品質を確保し保証するためには、高度な現場の技能と管理体制が必要になります。精密機械など多くの機械製品がこのタイプです。

韓国は前者のタイプで伸びました。しかし品質確保のためには、高品質の部品が必要です。その部品は、日本でしか作れないものが沢山あります。また、生産設備も日本が世界最先端にあります。従って、韓国は成長すればするほど、日本からの部品と生産設備を輸入せざるを得ません。日本が儲かるだけの構造です。

韓国の「成功」は、大胆な投資でした。半導体など日本は投資競争に遅れを取ったのは事実と思います。大胆な投資が出来たのは、寡占の構造にあると思いますが、しかし企業の資本構成を見れば、外資に抑えられています。従って企業の利益は海外に流れて国民には還元されない気の毒な構造です。

それならばこの構造は今後打破できるかと言えば、出来ないと断言できるでしょうね。摺り合わせ型製品のもの造りの基本にあるものは、神様も労働するという労働に価値を見る国民性や、より綿密な組織活動を行わなければなりませんから、「信」を重んじる国民性がなければなりません。仰るように嘘つき民族ではムリというものです。その意味でシナも同じです。

日本は朝鮮併合時代に、インフラ整備として産業基盤と共に教育に国家予算を投入しました。これは産業発展の必要条件です。そのお陰とその後の日本からの各種支援などを含めて、組合せ型製品は作れるようになった、しかしそこでどん詰まっているし、どうしようもないと言うのが私の見方です。

日本は台湾でもインフラ整備と教育に力を注ぎました。戦後のODAの中でも、JICA(国際協力機構)による技術協力は、各国の人材教育に力を注ぎました。これは日本のDNAなのかも知れません。水島さんが、「日本的価値観・世界観で、世界史が大きく転換する機会が生まれようとしている。」と述べた意味はここにあると思い、その慧眼に敬服するものです。

管理者のみに表示