宝の海、国境・離島を守れ

去る6月16日、日本世論の会神奈川県支部主催により、東海大学教授山田正彦氏の標記の講演会がありました。国境・離島と言えば、尖閣諸島は誰もが知っているところであり、去る6月11日の石原東京都知事の国会での答弁ではありませんが、「中国が強盗に入ろうとしているのに、戸締まりしない国は間が抜けている」という状況が続いています。

正に尖閣は喫緊の問題ですが、本日の山田先生のお話は、尖閣諸島、北方領土、竹島、沖ノ鳥島などを含めた我が国の排他的経済水域を守れ、それは我が国の将来に豊かな海洋資源提供の可能性を秘めているからだと、海洋大国としての我が国を再認識し、その立場を守れと強調していました。タイムリーなお話として、要旨を紹介させていただきます。

1.排他的経済水域
図は、我が国の排他的経済水域(EEZ:Exclusive Economic Zone)を示します。

排他的経済水域

平成8年(1996年)、我が国は国連海洋条約を批准し、我が国のEEZが国際的に認められた。東西3000km、南北3000km、沖ノ鳥島は緯度で言えばハノイより南だ。我が国は、国土面積は38万平方キロで世界で62位に過ぎないが、EEZは447万平方キロで、一挙に世界6位になる。ちなみに1位はアメリカ、以下フランス、オーストラリア、ロシア、カナダと続き、中国は15位で日本の五分の一でしかない。

EEZは、沿岸から200海里(370km)、国同士で重なる場合は、両国の中間線とさる。EEZにおいては、3つの権利が認められている。1つは海底資源の開発、2つは海中を使用する権利、3つは漁業管轄権だ。海中を使用する権利の意味として、海水に含まれる希少金属の利用権利がある。EEZは面積であるが、その海底まで含めた体積では、我が国は世界第4位の海洋大国に浮上するのだ。

それでは、この3つの権利は実際にはどのような意味を持っているのか。

(1)海底資源の開発
●メタンハイドレード
・メタンハイドレードとは、深海底のように低温・高圧力のもとで、天然ガスがシャーベット状になったもので、、火山国日本列島の周辺の海には、大量に存在することが知られている。その量は、我が国が消費するガスエネルギーの100年分とも言われている。
・メタンハイドレートの開発では、我が国は世界の最先端を走っている。
・平成24年2月、愛知県沖で掘削試験が始まった。また今後の商業生産向けの技術開発が進められている。
・日本海側の新潟県沖にも、豊富にあることが分かっているが、漁業権の問題と、冬場の強風・波浪の問題がある。

●海底熱水鉱床
・海底400~1600メートル、さらには1000~3000メートルの海底山脈に、冷たい海水と熱い海底火山のマグマにより、地殻にに含まれる金、銀、銅、鉛、亜鉛や各種の希少金属が噴出堆積したもの。これも我が国は火山列島であるために、列島周辺には海底熱水鉱床が多数存在している。
・我が国は、高度な海底掘削技術を持っている。

●開発体制
・(独法)海洋研究開発機構などが、科学面・工学面で技術開発を進めている。しかし国家としてより力を入れて欲しいものだ。

(2)海中を利用する権利-海水の利用
・海水中には、ウラン、リチウムなどの希少金属や金なども含まれている。ウランは海水1トン当たり3ミリグラム、リチウムは170ミリグラム含まれている。
・海水から捕集する技術は既に開発されており、この面でも我が国は世界の先端を走っている。ウランに関しては、あとは鉱山のウランとの価格競争だ。

(3)海洋管轄権
・今我が国の漁師は20万人、平均年収は一人当たり270万円であり、若者の事業継承が困難になっている。しかしその中で、新しい試みがどんどん起こっている。養殖漁業や栽培義業である。
・海面養殖を行っている漁師の平均年収は560万円、根室の漁業組合では、120人の組合員で20億円の売上がある。一人当たり1700万円である。
・マグロの養殖の研究開発も進んでいる。
・9時-5時の勤務で収入が上げられる。若者が戻ってきている。

2.国境・離島を守れ
(1)尖閣諸島
・福建省の魚市場を見た。魚種が豊富の上、港に着き陸揚げするやどんどん売れていく。コールド・チェーンも整備され、内陸部の魚の需要がどんどん拡大している。
・漁船1隻の水揚げは、月500万円、役人の数倍の収入がある。農村戸籍でもかまわないので、参入者がどんどん増えている。
・シナ沿岸は汚染され漁獲量が減っている。その分東シナ海、遠くは尖閣まで出てくる。
・平成22年9月7日の漁船衝突事件は、福建省の軍部の指示だ。本年の中国のトップ交代に向けて、功績争いが起こっている。海監出動は国家意志だ。次は漁民の尖閣上陸、その保護として公船がくる。大変危ない状況だ。
・無人島は1島でも盗られたら、そこを基点に新たなEEZが引かれてしまう。東シナ海は中国の内海になる。無人島を放置しておいてはいけない。ちなみに我が国の離島は6847、無人島は6431、名前のない無人島39もある。離島を基点としたEEZの管理は重要だ、周辺国がスキを窺っている。
・中国の意図は、海底資源もあるが、EEZの拡大と太平洋への出口確保だ。
・自然遺産の小笠原、知床、屋久島は、一度は人の手が入り自然が壊滅に瀕したが、その後の保護で甦った。東京都は小笠原でノウハウを持っている。尖閣は黒潮の源流でもある。東京都の尖閣保有には正当性がある。

(2)北方領土
・何回もビザなし渡航で訪問した。ロシアのクリル発展計画の予算は500億円だ。それで飛行場や港湾、道路のインフラ整備を行わなければならないが、ムリというものだ。
・ロシアにおいても、海の意味が変わってきた。島の確保から海域・EEZの確保だ。
・サハリンのガス田開発は、アメリカのシェールガス開発より遅れれば、もう世界に売れなくなる。ロシアは焦っている。日本の経済力、技術力、商社機能、海運などの組織力を求めているはずだ。
・近年ロシアは、北極航路開発に力を入れ始めている。北極航路は、世界の海運事情を一変させる可能性を持っている。北方4島の海域は、通過点となり、避難港や補給基地などの役割を含めた海域管理が重要な意味を持ってくる。
・硬直している北方領土返還交渉には、海域政策や海洋管理の視点が必要になってくる。

(3)竹島 (略)

●政府の海洋管理の枠組と推移(筆者追記)
・平成19年4月、国際海洋条約に対応する「海洋基本法」制定。政府の中に「総合海洋政策本部」設置。海洋政策担当大臣任命。
・平成20年3月、海洋基本計画閣議決定(自民党政権)
・平成21年9月、民主党政権発足。海洋施策が停滞。名前のない無人島の命名に2年以上の歳月がかかるなど。それどころか外交における不作為により、周辺国をつけあがらせ、今国境が脅かされている。

(うまし太郎)
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未分類 | コメント:(0) | トラックバック:(1) | 2012/06/19 16:21
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